ビジネス拡大のための道筋:会社設立のメリットと会社の種類

ニャンゴシ君

佐々木先生!僕の知り合いが不動産さんをやっているんだけど、最近、お客さんも増えてきたので、会社を設立したいって言ってたニャ!

弁護士 佐々木

そうなんですねニャンゴシ君。会社を設立すれば、外部からの信用が得やすくなったり、ビジネスの拡大も期待できますよ。

ニャンゴシ君

なんで会社を設立するとビジネスが拡大するのニャ?
よく分からないニャ!

弁護士 佐々木

理由は色々ありますが、良い機会ですので、今回は、会社とは何なのか、会社を設立するメリットと種類について、ご紹介しましょう。

ニャンゴシ君

よろしく頼むニャー!

目次

1.会社とは

 会社とは、一言でいうと、営利を目的とする社団法人をいいます。会社法などの法令や、定款の範囲内で権利や義務の主体となることができます(民法34条)。
 自然人(個人)と同じように、法律上、自らの名義で独立して契約を締結したり、金融機関から融資を受けたりすることができるのです(会社法3条)。

2.会社設立のメリット

 会社を設立するためには、手続や設立費用がかかりますが、なぜ、多くの経営者が会社を設立することにしているのでしょうか。そのメリットは以下の通りです。

⑴社会的な信用が向上し、ビジネスの拡大が期待できる

 会社が設立されると、本店の所在地を管轄する法務局において、商号、本店所在地、資本金といった情報が登記されることとなるため(会社法911条3項等)、個人事業主よりも比較的に社会的信用性が向上し、銀行等の融資先から資金を調達しやすくなったり、取引先との取引の機会増加が見込めます。
 また、信用が増すことで、会社で働くことを希望する優秀な人材が集まり易くなり、会社の成長にも繋がっていきます。

⑵事業継続性の確保

 個人事業主の場合、事業に係る資産(以下、「事業資産」といいます。)は全て経営者である個人事業主の名義となりますので、経営者が廃業すれば事業も停止し、万が一、経営者が死亡した場合には経営者名義の預金口座が凍結されるなど、事業の継続が困難となるケースもありえます。

 一方で、会社は、経営者と独立して会社名義で、資産を保有し、事業を行っているため、経営者が交代したとしても、問題なく事業を継続することができます。

⑶一定の場合に、事業の売却、譲り渡しが行いやすくなる

 運営している事業を、第三者に譲渡する場合、ボトルネックとなるのが、事業資産の名義変更や契約の承継です。事業の規模によっては煩雑な手続や負担が生じることがあります。
 しかし、第三者に持分や株式を譲渡できれば、会社を引き継がせることで、資産や契約の当事者を会社名義のまま、事業を譲り渡すことも可能となります。

⑷節税効果

 事業を通じて利益を上げると、個人事業主は所得税、会社には法人税が課せられます。
個人事業主の所得税は累進課税により5 ~ 45 %の税率が課される一方、法人税の税率は、資本金1億円以下の会社(普通法人)で所得が800 万円を超えると23.2 %、所得が800 万円以下だと15 %であるなど、状況にもよりますが、会社を設立することで節税効果を期待できる場合があります。
 他にも、個人事業主よりも経費にできる範囲が広がったり、役員報酬などで節税を可能にしたり、この点は、税理士の先生にご相談されるとよいでしょう。

3.会社の種類

 会社法上、会社には4つの種類が定められており、無限責任である合名会社と合資会社、有限責任である株式会社と合資会社があります。
 無限責任とは、会社の責任に対して出資者が無限に責任を負うことを指し、逆に有限責任の場合、出資者は、その出資した金額の範囲内で責任を負うこととなります。

⑴合名会社

 合名会社は、会社に対する権利を株式ではなく持分として捉えた「持分会社」の形態のひとつであり、出資者である社員が全て、「無限責任社員」で構成され会社のことを言います(会社法576条2項)。合名会社を設立するには、無限責
任社員1 名以上が必要となります。

⑵合資会社

 有限責任と無限責任の社員(出資者)で構成される「持分会社」の形態の1 つです。特徴は、無限責任社員と有限責任社員がそれぞれ1 人以上、つまり2 人以上の出資がいないと設立できない会社形態ということです。
 会社の債権者に対して、負債の全ての責任を負う無限責任社員と、出資額の範囲でのみしか責任を負わない有限責任社員が混在して設立されるのです。

⑶合同会社

 合同会社は、合名会社、合資会社と同じく「持分会社」ですが、有限責任社員のみで構成されており、出資者と経営者が同一で、出資したすべての社員が会社の決定権をもち、経営を行います。
 株式会社に比べて設立費用やランニングコストが安く、経営の自由度が高いという特徴があり、小規模の事業やBtoC の企業の経営によく使われていますが、GAFAなど外資系企業の日本法人も合同会社の会社形態を採用しています。

⑷株式会社

 株式会社は、会社の権利を株式という割合的単位に分割し、その株式を出資者に分配することで資金を集めて経営を行う会社のことです。
 一番よくみられる会社形態であり、日本に存在する会社のおよそ91.2%が株式会社です(引用:国税庁「令和3年度分会社標本調査―調査結果報告―」14頁より)。
 株式を保有する出資者を株主といい、実際の会社の事業運営は取締役が行うという「所有と経営の分離」が図られている点が株式会社の特徴です。株主が取締役になることも可能で、中小企業では、出資者兼経営者となってることも多いです。
 株主は、保有する株式に応じて会社の利益の分配を受けられ、株式を第三者に譲渡することで、投下資本の回収を図り、場合によっては売却益を得ることが可能です。

弁護士 佐々木

会社設立のメリットや種類については、こんな感じですね。
ある程度、事業で利益が出るようなった段階で会社を設立することで取引先や銀行さんからも信用されやすくなり、事業の拡大を期待できます。

ニャンゴシ君

にゃるほど。僕の知り合いにも伝えておくにゃ。
けど、会社を設立するにはどうやったら良いのかにゃ?
自分でうまく会社を経営できるかどうかも不安にゃ。

弁護士 佐々木

そうですね。手続などについても、おいおいご紹介できればと思います。
会社設立は手続や制度設計など複雑な点もありますので、ご心配であれば法律のプロにご相談することをお勧めいたします。

ニャンゴシ君

佐々木先生は、本当に、商売下手のすけだにゃ!
うちの事務所では相談にのってくれないのかにゃ?

弁護士 佐々木

もちろん、弁護士法人アストレイでは、会社の設立のご相談やご依頼を随時受け付けております。
また、顧問契約を締結していただいたお客様には、創業期の事業運営や会社が軌道に乗った後も法務に関してフルサポートさせていただきますので、お気軽にご相談いただけますと幸いです。

ニャンゴシ君

よろしくにゃー

弁護士法人アストレイ

東京都港区港南2丁目16-1 品川イーストワンタワー4階

TEL 03-6890-3976 FAX 03-6369-4519

この記事を書いた人
弁護士 佐々木 良次

派遣作業員から、安定した仕事をしようと一念発起し、駒澤大学を受験、入学後、弁護士を目指すべく愛知のロースクールを出て司法試験に合格する。
名古屋の企業向け法律事務所に3年ほど勤務し、令和6年4月、東京にて弁護士法人アストレイを立ち上げる。趣味はバイクとキャンプ。
非公式マスコット
ニャンゴシ君

猫の社会的地位向上のため法曹を志し、勝手に事務所に居座る。
司法試験は受けたことないが、愛らしさは合格レベルと豪語する。
趣味は、佐々木弁護士の家の壁紙で爪とぎをすることと、冷蔵庫から勝手にちゅーるをとってくること。
最近のお気に入りはネズミのおもちゃ。
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