ニャンゴシ君のやさしい相続講座 相続開始直後にやること〜3か月・4か月・10か月の壁〜

ニャンゴシ君

佐々木先生!相続の相談者さんなんだけど、お葬式が終わるか終わらないかのうちから、もう遺産の取り分でバチバチに揉めてるニャ…

弁護士 佐々木

お気持ちはわかりますが、その時期はちょっと心配ですね。被相続人が亡くなった直後には「期限が決まっている手続き」がいくつもあって、揉めることに気を取られていると、相続人の全員が損をしてしまうことがあるんです。

ニャンゴシ君

えっ、争ってる場合じゃない…ってことニャ?

弁護士 佐々木

場合によっては争う前に考えておかなければならないですね。今日は、相続が始まったら「まず何をすべきか」を、時間の流れにそって整理しましょう。期限を知っておくだけで、ずいぶん違いますよ。

目次

1 まずは「期限」の全体像をつかもう

ニャンゴシ君

期限って、そんなにいろいろあるのニャ?

弁護士 佐々木

いつから期限がスタートするかという話はありますけど、簡単に話すと相続開始後に期限のある代表的なものだけでも、これだけあります。しかも、これらは「遺産分割でモメているかどうか」とは関係なく、どんどん進んでいきます。話し合いがまとまるのを待ってはくれません。

  • 7日以内 ── 死亡届の提出
  • 3か月以内 ── 相続放棄・限定承認をするかどうかの判断
  • 4か月以内 ── 準確定申告(故人の所得税の申告)
  • 10か月以内 ── 相続税の申告・納付

2 最初の数日〜 死亡届、口座の凍結と遺言の確認

ニャンゴシ君

まず、何から手をつければいいニャ?

弁護士 佐々木

まずは、死亡届の提出です。法律上、死亡の事実を知った日から7日以内(国外で亡くなった場合は3か月以内)に提出する必要があります。死亡届は、火葬を行うための「埋火葬許可証」の交付を受けるためにも必要ですので、通常は葬儀の段取りの中で、火葬前に提出することになります。提出は葬儀会社が手伝ってくれることも多いですね。

弁護士 佐々木

また、葬儀と並行して、早めにつぎの2つを確認してください。ひとつは銀行口座です。金融機関が亡くなったことを把握すると、その口座は凍結され、自由に引き出せなくなります。

ニャンゴシ君

あれ、引き出せないと、葬式代の支払いにも困っちゃうニャ…

弁護士 佐々木

そこは、2019年からできた「払戻し(仮払い)制度」があります。一定の計算式で算出される範囲内で、1つの金融機関につき150万円を上限として、他の相続人の同意がなくても引き出せる場合があります。葬儀費用や当面の支払いに充てられますよ。

弁護士 佐々木

もうひとつは、遺言の有無の確認です。公正証書遺言なら公証役場で、法務局に預けた自筆証書遺言なら法務局で、それぞれ調べられます。それ以外の自筆証書遺言が見つかった場合は、勝手に開封せず、家庭裁判所の「検認」を受けてください。

ニャンゴシ君

見つけても、勝手に開けちゃダメなんだニャ!

3 3か月と4か月 早めに動かないと危ないもの

ニャンゴシ君

次の山場は?

弁護士 佐々木

まず3か月です。借金などマイナスの財産を引き継ぎたくない場合の「相続放棄」や「限定承認」は、原則として、自分のために相続が始まったことを知った時から3か月以内に、家庭裁判所へ申述する必要があります。

ニャンゴシ君

3か月って、あっという間ニャ…

弁護士 佐々木

そうなんです。しかも、故人の財産に手をつけて使ってしまうと「相続を承認した」とみなされ、放棄できなくなることもあります。借金がありそうなら、財産に手をつける前に、早めに専門家へ相談してください。

弁護士 佐々木

次が4か月です。故人に一定の収入があった場合は、その年の所得税を申告する「準確定申告」が必要で、これは相続の開始を知った日の翌日から4か月以内が期限です。

ニャンゴシ君

あ、おじいちゃん賃料収入あったんだー、へーと放っておいたら、申告期限が過ぎていた……なんてこともありそうニャ!気をつけるニャ!

4 10か月の壁 「争ってる場合じゃない」理由

ニャンゴシ君

で、いちばん大きいのが相続税ニャ?

弁護士 佐々木

そうです。相続税の申告・納付は被相続人(亡くなられた方)が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。なお相続税は、遺産が基礎控除(3000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合にかかります。ここで多くの方が誤解しているのが、「揉めて分け方が決まっていなければ、申告しなくていい」と思ってしまうことです。

弁護士 佐々木

実は逆で、分け方が決まっていない(未分割の)状態でも、いったん法定相続分で計算して、10か月以内に申告・納付しなければなりません。期限は、揉めていても待ってくれないんです。

ニャンゴシ君

揉めてても、待ってくれないのニャ…!

弁護士 佐々木

しかも怖いのが控除などの特例です。配偶者の負担を大きく軽くする「配偶者の税額軽減」や、自宅の土地の評価を下げる「小規模宅地等の特例」は、原則、遺産が分割されていないと使えません。つまり争って未分割のままだと、本来軽くなるはずの税金を、いったんフルで払うことになります。

ニャンゴシ君

争ってるうちに、よけいなお金が出ていくなんて…

弁護士 佐々木

ただ、申告のときに「申告期限後3年以内の分割見込書」という書類を出しておけば、3年以内に分割がまとまった時点で、払い過ぎた分を取り戻せます。逆に、これを出し忘れたり、必要な手続を取らないまま長期化したりすると、本来使えたはずの特例が使えなくなるおそれがあります。

弁護士 佐々木

だからこそ、「争うにしても、期限内の申告と、この見込書の提出だけは必ず手を打っておく」。これを忘れて争い続けると、結局その代償は“余計な税金”という形で、相続人側に跳ね返ってくるんです。

ニャンゴシ君

なるほど…まさに「争ってる場合じゃない」ニャね。

5 まとめ 争うのは、手を打ってからでも遅くない

弁護士 佐々木

大切なのは、感情で動く前に、まず「期限」を確認することです。死亡届、口座と遺言の確認、そして3か月・4か月・10か月の手続き。ここさえ押さえておけば、たとえ分け方で意見が割れても、損失は最小限に抑えられます。

ニャンゴシ君

ケンカは、やることをやってからでも遅くないニャ!

弁護士 佐々木

そのとおり。むしろ、早めに専門家が間に入ることで、手続きの取りこぼしを防げますし、冷静な話し合いの助けにもなります。「何から手をつければ…」という段階こそ、相談のタイミングですよ。


当事務所では、相続が始まった直後の動き方(期限の管理、口座・遺言の確認、相続放棄の検討)から、遺産分割の交渉・調停、遺留分のトラブルまで、幅広くサポートしております。相続税の申告については提携の税理士と連携し、法律と税務の両面から、ご家族の負担と対立を最小限に抑えるお手伝いをいたします。「何から手をつければいいのか分からない」という段階でこそ、お早めに、以下の番号か相談予約ページよりご相談ください。

弁護士法人アストレイ

☎ 03-6890-3976

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