ニャンゴシ君のやさしい相続講座 その財産、相続される?されない?〜相続財産の範囲と「みなし相続財産」〜

ニャンゴシ君

佐々木先生!相続って、結局なにを分けるのか、いまいちピンとこないニャ。預金とか家は分かるけど、それ以外はぼんやりしてるニャ…

弁護士 佐々木

「何が相続財産に含まれて、何が含まれないのか」は、相続の出発点でありながら、多くの方が誤解しているところなんです。今日は相続財産の範囲について説明させていただきます。

ニャンゴシ君

たしかに、ここが分かってないと、放棄するかどうかも、どう分けるかも、話が進まないニャ。

弁護士 佐々木

そのとおり。しかも相続は、場合によっては相続税の話につながります。先に、みつけた相続財産を書き出してリストにし、「財産の地図」を持っておくと、ぐっと安心ですよ。一般的には、これを「財産目録」と呼びます。

目次

1 そもそも「相続財産」って何?

弁護士 佐々木

大原則は、亡くなった方(被相続人)の財産に属していた権利や義務を、相続人でまるごと引き継ぐ、ということです。ここで大事なのは、プラスの財産だけでなく、マイナスの財産も含まれる、という点です。

ニャンゴシ君

えっ、借金も!? いいものだけもらうってことはできないのニャ?

弁護士 佐々木

プラスもマイナスも一緒に引き継ぐのが基本です。だからこそ、借金のほうが多そうなときには「相続放棄」という選択肢が出てくるわけですね。

2 プラスの財産・マイナスの財産

弁護士 佐々木

具体的には、こんなイメージです。

プラスの財産(資産)

  • 預貯金
  • 不動産(土地・建物)
  • 株式・投資信託などの有価証券
  • 自動車、貴金属、骨董品など
  • 人に貸したお金(貸付金)などの債権

マイナスの財産(負債)

  • 借入金・各種ローン
  • 連帯保証などの保証債務
  • 未払いの税金・医療費・家賃 など
ニャンゴシ君

プラスとマイナス、両方ぜんぶ書き出さないといけないニャね。

弁護士 佐々木

そうです。まずは財産の棚卸しをして、全体像をつかむことが第一歩。ここが曖昧なまま分割や放棄を進めると、あとで「実は借金があった」と判明して大変なことになります。

3 実は「相続財産に含まれない」もの

弁護士 佐々木

一方で、相続財産に“見えて”、実は遺産分割の対象には入らないものもあります。ここが、いちばん誤解の多いところです。

  • 死亡保険金(受取人が被相続人以外の者に指定されているもの)……受取人ご本人の固有の財産で、遺産分割の対象にはなりません
  • 死亡退職金……会社の規程などで受け取る人が決まっている場合は、その人の固有の財産になります
  • 一身専属権……年金を受け取る権利、生活保護の受給権、資格・免許など、その人だけに認められたもの。引き継げません
  • 祭祀財産……お墓・仏壇・位牌など。相続とは別のルールで、承継する人が決まります
  • 香典……ご遺族へのお悔やみとして贈られるもので、相続財産ではありません
ニャンゴシ君

じゃあ、生命保険のお金は受取人のものだから、相続には一切関係ないんだニャ!

弁護士 佐々木

……と、思いますよね。でも、ここに落とし穴があるんです。

4 「みなし相続財産」── 民法と相続税のズレ

弁護士 佐々木

いまの死亡保険金や死亡退職金は、たしかに「遺産分割の対象」ではありません。でも、相続税の世界では話が別で、「みなし相続財産」として、課税の対象に含めて考えます。

ニャンゴシ君

分けるときは“別”なのに、税金では“カウントされる”…? ややこしいニャ!

弁護士 佐々木

そうなんです。民法(どう分けるかのルール)と、相続税法(どう課税するかのルール)は、別々の物差しなんですね。受取人が受け取る保険金も、実質的には亡くなったことで得た利益なので、税金の計算には入れましょう、という考え方です。

弁護士 佐々木

計算上のルールとして、生命保険金と死亡退職金には、それぞれ「500万円 × 法定相続人の数」といった非課税枠が定められています。ただし、この枠が使えるかどうかや金額は、事情によって変わってきます(例:相続放棄をした人がいる場合など)。

ニャンゴシ君

もらった額がまるごと課税されるわけじゃないけど、ケースで変わるってことニャね。

弁護士 佐々木

そうです。また、「みなし相続財産」として計上された場合も、さらに基礎控除がいくらか?という問題もでてきます。だから、相続税がかかりそうだと感じたら、自己判断せず、早めに税理士に確認してください。「分割では別扱い、でも相続税では計算に入ってくる」——まずはこの二本立てを知っておくことが大事です。

ニャンゴシ君

あ、しかもその相続税の申告には「亡くなったことを知った日の翌日から10か月」っていう期限があったニャ!うっかり過ぎると加算税がかかることもあるから、ほんと要注意ニャ。期限まわりは前の回でまとめてるから、あわせて読んでほしいニャ →相続開始直後にやること〜3か月・4か月・10か月の壁〜

5 まとめ まずは「財産の地図」を作ろう

弁護士 佐々木

相続財産は、プラスもマイナスも引き継ぐのが原則。一方で、保険金・退職金・一身専属権・祭祀財産・香典は、遺産分割の対象には入りません。ただし保険金や退職金は、相続税では「みなし相続財産」として扱われる。ここを分けて理解しておくと、放棄も、分割も、税金も、見通しがぐっと良くなります。

ニャンゴシ君

何がプラスで、何がマイナスで、どれが分割の対象か……まずは“財産の地図”づくりが第一歩ニャ!

弁護士 佐々木

そのとおり。この棚卸しは、専門家と一緒にやると正確で安心です。とくに保険や退職金がからむと、民法と税金の両面を見る必要があります。相続税が発生しそうなケースでは、早めに税理士に確認するのが安全です。当事務所でも税理士と連携して対応できますので、迷ったらお早めにご相談ください。


当事務所では、相続財産の範囲の確認(財産の棚卸し)から、遺産分割の交渉・調停、相続放棄の検討、遺留分のトラブルまで、幅広くサポートしております。相続税の取り扱いについては提携の税理士と連携し、法律と税務の両面から、ご家族にとって最適な進め方をご提案します。「何が相続財産になるのか分からない」という段階でこそ、お早めにご相談ください。

弁護士法人アストレイ

☎ 03-6890-3976

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