離婚を考えるとき、多くの方が気になるのが「お金の問題」です。
「慰謝料はもらえるの?」「財産ってどう分けるの?」「養育費や生活費はどうなるの?」 こうした疑問や不安は、感情的なもつれに加え、法律的な知識が必要なため、判断が難しい問題です。
今回は、離婚に関連する代表的な4つの金銭項目について、実務上のポイントを整理して解説します。
【離婚で関係するお金の種類は?】
離婚の際に関係してくるお金は、主に次の4つです。
- 慰謝料:不貞行為や暴力など、有責行為があった場合の損害賠償
- 財産分与:婚姻期間中に築いた共有財産の公平な分配
- 養育費:未成年の子どもがいる場合、親権を持たない側が支払う生活費
- 婚姻費用:別居中に生活費などを分担するための費用(離婚前の話)
それぞれ条件や目的が異なるため、混同しないように整理して考えることが重要です。
【慰謝料は「必ずもらえるもの」ではない】
「離婚=慰謝料がもらえる」と思われがちですが、慰謝料は次のような有責行為が認められる場合に、相手に対して請求することができます。
- 不貞行為(浮気・不倫)
- 配偶者からの暴力(DV)やモラハラ
- 正当な理由のない別居・生活費の未払い(悪意の遺棄)
相場は数十万円から300万円程度まで幅がありますが、 被害状況、婚姻期間、精神的苦痛の程度などによって変動します。
また、双方に一定の責任がある場合や、証拠が不十分な場合は認められないこともあります。
【財産分与の対象と考え方】
財産分与は、夫婦が婚姻中に築いた財産を、公平に分け合う制度です。 「名義がどちらにあるか」は原則として関係ありません。
対象となる例:
- 預貯金・株式・保険などの金融資産
- 持ち家・土地などの不動産
- 自動車・家財道具などの動産
- 退職金(将来支給予定でも対象になるケースあり)
評価時点や対象範囲で争いが起こりやすいため、専門的な判断が求められます。
なお、結婚前から所有していた財産(特有財産)や、相続・贈与で得た財産については、分与の対象外となることが多いです。
【養育費は子の権利】
養育費は「親の義務」であると同時に、「子どもの生活を守るための権利」です。
親権を持たない側が支払うことになりますが、
- 子の人数
- 年齢(0〜14歳/15歳〜)
- 双方の収入
などによって算出される金額が異なります。
養育費の目安は、裁判所が公表している「養育費算定表」によって確認できます。
また、調停や公正証書によって文書化しておくことで、 支払いが滞った場合の差押え(強制執行)にも対応しやすくなります。
【婚姻費用は、離婚前に関係する生活費の分担】
婚姻費用とは、別居中の生活費・子の養育費などを、収入に応じて夫婦間で分担する制度です。
- 離婚前の段階で請求できる
- 生活保持義務に基づき、一定の水準を維持することが目的
- 養育費と異なり、「離婚前」にしか請求できない
こちらも、家庭裁判所の「婚姻費用算定表」により、おおよその金額を把握できます。
コチラで簡易計算可能です。
【まとめ】
離婚時に関係するお金の問題は、ひとくちに「慰謝料」と言っても、 その根拠・目的・請求できる条件が異なるため、混同するとトラブルになりやすい分野です。
相手との交渉や調停を有利に進めるためには、
- どの請求が自分に可能か
- 何を証拠として用意すべきか
- どのように文書化するか
といった実務的な視点が重要です。
▶ 離婚とお金の問題でお悩みの方は、まずは【法律相談】でご自身の状況を整理してみませんか?
弁護士法人アストレイでは、離婚や男女問題にお悩みの方のご相談も随時、承っております。
相談をご希望の方は、コチラのページよりご予約ください。