《コラム》合同会社と株式会社、どっちで設立すべき?

ニャンゴシ君

ねえねえ、佐々木先生!ボク、ついにビジネス始めようと思ってるんだ!夢は大きく、「ニャンゴシ」ブランドを世界に広げたいニャ!やっぱり株式会社でスタートすべきかニャ?


弁護士 佐々木

それは立派な目標だね。でも、“カッコよさ”や“夢の大きさ”だけで決めると、後で後悔することもあるよ。まずは、“合同会社”と“株式会社”の違いから整理してみようか。

ニャンゴシ君

合同会社?それって……なんか地味な名前だニャ

弁護士 佐々木

確かにそう思う人もいるけど、実は合理的な仕組みで、小規模ビジネスや副業には向いてることも多いんだよ。それでは、見ていこう。

目次

1. 合同会社と株式会社の基本的な違い

項目合同会社株式会社
設立根拠主に会社法577条以下主に会社法25条以下
出資者と経営者の関係原則一致(社員=業務執行者)分離可能(取締役に委任)
取締役会の設置できない任意(設置会社なら必須)
決算公告義務なし原則あり
株式譲渡株式制度なし譲渡制限や上場も可能

合同会社は「出資者=経営者」というシンプルな構造で、意思決定のスピードに優れます。一方、株式会社は所有と経営の分離が可能で、外部からの資本参加や経営分担にも柔軟に対応できます。


2. 設立費用・手間の比較

合同会社の設立費用は、約6万円程度で済むのに対し、株式会社は諸費用を考えると約20万円前後かかります。

費用項目合同会社株式会社
登録免許税6万円~15万円~
公証人による定款認証不要必要(約5万円~)
合計費用の目安約6万円~約19万円~

とくにスタート段階では、「できるだけ安く抑えたい」というニーズに応えるのが合同会社です。


3. 社会的信用・対外評価の違い

名刺やHPに「合同会社」とあるだけで「小規模事業」「個人事業主の延長線」と見なされるケースもあります。特に、

  • BtoB取引
  • 下請・委託系ビジネス
  • 融資申請

といった局面では、株式会社のほうが「無難」と評価されがちです。社会的信用が必要な場合には、あえて株式会社を選ぶ実務者も少なくありません。


4. 将来の出口・拡大戦略をどう考えるか

起業当初は合同会社で問題なくても、将来的に以下のような戦略をとる場合は株式会社が望ましいです。

  • 事業承継や株式売却を視野に入れている
  • ベンチャーキャピタルからの出資を検討している
  • ストックオプションを使いたい
  • 上場を視野に入れている

なお、合同会社から株式会社への「組織変更」も可能ですが、登記手続きや税務上の整理など、一定のコストと時間がかかります。


5. よくある誤解と失敗例

  • 「合同会社は株式会社よりも節税になる」→実際の税率は株式会社と変わりません
  • 「とりあえず合同会社でいい」→将来の変更が意外と手間
  • 「定款は雛形で十分」→実態と合わないとトラブルの元

短期のコストに目を奪われて選ぶと、将来の成長や取引で支障をきたすケースも見られます。


6. 法務の視点から見る“おすすめの選び方”

合同会社をおすすめするケース:

  • フリーランスや個人事業主の法人化
  • 家族経営・少人数スタートのビジネス
  • 外部資金調達や株主対応の予定がない

株式会社をおすすめするケース:

  • 共同経営や複数出資でのスタートアップ
  • 対外的な信用を要する業態
  • 事業承継や株主間契約が絡むケース

【まとめ】

  • 合同会社は「シンプル・安価・迅速」、株式会社は「信用・柔軟・成長性」
  • どちらを選ぶかは、事業の将来像と対外関係を踏まえて判断すべき
  • 判断に迷う場合は、まず設立後3年以内の見通しを基準に考えるのが現実的

ニャンゴシ君

ふむふむ……なるほどニャ!やっぱりボクの夢を大きく育てるなら、最初から株式会社で勝負するのもアリだニャ!

弁護士 佐々木

そうだね。事業の規模や展望によって、最適な選択は変わるから、焦らずじっくり考えることが大切だよ。必要なら、いつでも相談にのるからね。

ニャンゴシ君

「頼もしいニャ~!じゃあ、ボク、まずは事業計画をもう一回見直してみるニャ!

弁護士 佐々木

それが第一歩。がんばって!ニャンゴシ君!

【法人設立のご相談について】

当事務所では、合同会社・株式会社の設立支援をはじめ、定款の作成、出資構成の整理、事業開始後の契約整備なども含めたトータルサポートを行っております。

顧問契約による継続支援も可能ですので、起業前後での不安や課題がある方は、ぜひ一度ご相談ください。

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この記事を書いた人
執筆者プロフィール
弁護士 佐々木 良次(ささき・りょうじ)
弁護士法人アストレイ代表(東京・品川)

製造現場での派遣勤務を経て、一念発起し駒澤大学に進学。法科大学院を経て司法試験に合格。
名古屋の企業法務系法律事務所で中小企業の契約・紛争対応を経験したのち、令和6年4月に東京にて弁護士法人アストレイを設立。
現在は、企業の法務体制構築、株主総会運営、役員構成の見直し、契約書の整備など、会社の法務支援を幅広く手がけている。
趣味はバイクとキャンプ。
非公式マスコット
ニャンゴシ君

猫の社会的地位向上を夢見て、法曹界を志す。
以来、弁護士法人アストレイに“住み着き”、佐々木弁護士のそばで日々法律を学びながら、猫にも優しい社会の実現を目指している。
司法試験を受けたことはないが、「ボクの愛らしさはすでに合格レベルニャ」と本人(猫)は豪語。
趣味は、佐々木弁護士の家の壁紙での爪とぎと、冷蔵庫から勝手にちゅ〜るを取り出すこと。
最近のマイブームは、ネズミのおもちゃ
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