《コラム》株主総会の議事録って必要?~知らないと損する会社の記録の話~

ニャンゴシ君

ねえ佐々木先生、株主総会では“議事録”っていう記録を残さなきゃいけないって聞いたんだけど……それってホントに大事なのかニャ?

弁護士 佐々木

うん、実はとっても重要なんだ。議事録を甘く見ると、後でトラブルになったときに“意思決定をおこなった記録”がないことになってしまうんだよ。

ニャンゴシ君

でもボクの会社は家族だけの小さな会社ニャ……それでも必要なのかニャ?

弁護士 佐々木

たとえ家族経営でも“株式会社”である以上は、法的な意思決定には“記録”が必要だよ。特に株主総会はね。今回は“株主総会の議事録”に絞って、必要な情報を整理してみようか。

目次

1. 株主総会議事録の必要性と法的根拠

株式会社では、株主総会を開催した際には、必ず議事録を作成することが法律で義務づけられています(会社法318条1項)。

この議事録は、会社の意思決定の内容を証拠として残しておくもので、登記手続きや銀行対応、税務などでも活用されます。


2. 議事録に記載すべき事項(株主総会)

会社法施行規則72条3項により、株主総会の議事録には、次の事項を記載する必要があります。

  • 株主総会が開催された日時・場所
  • 株主総会議事の経過の要領およびその結果
  • 法令に基づき記載を求められる特定の発言・意見(例:監査等委員である取締役の選任・解任・辞任に関する意見など)
  • 出席した取締役・監査役の氏名(または名称)
  • 議長を立てた場合はその氏名
  • 議事録作成を行った取締役の氏名
ニャンゴシ君

結構書くことあって大変だニャ!

弁護士 佐々木

そうだね。ただ、それだけ重要な書類ってことにもなるんだよ。事前に書式を用意して準備しても良いかもね。
議事録作成者の署名押印は、法律で求められていないけど、代表取締役が作成して署名押印するのが一般的だね。


3. 株主総会議事録の実務的な注意点

招集通知との整合性

株主総会が有効とされるためには、その開催が適法でなければなりません。特に注意すべきは、事前の招集通知です。

  • 原則:株主総会の1週間前までに通知(非公開会社の場合)
  • 方法:書面での通知が原則(会社法299条2項)
       株主の承諾があれば電子送付可能

書面または電子記録の保存義務

  • 原則として書面での保存が求められます
  • 保存期間は10年間(会社法318条2項)
  • 電子保存する場合でも、電子署名などにより真正性を確保することをお薦めします

4. 議事録の重要性は“リスク対策”としても絶大

議事録がないことで生じる代表的なリスクには、以下のようなものがあります:

  • 出資者間で「そんなことは決まっていない」と争いに発展
  • 税務署や銀行などから決議内容の証拠提出を求められる
  • 登記変更の際に議事録がないと手続きが進まない

佐々木:「実際にあったのが、増資決議をしたつもりが議事録がなく、出資内容が不明確になって法務局の登記手続が止まり、さらに会社内部で“そんな決議はしていない”とトラブルに発展したケース。会社法上も記録は非常に重要なんだ。」

弁護士 佐々木

実際にあったのが、増資決議をしたつもりが議事録がなく、出資内容が不明確になって法務局の登記手続が止まり、さらに会社内部で“そんな決議はしていない”とトラブルに発展したケース。会社法上も記録は非常に重要なんだ。

ニャンゴシ君

こわいニャ……ちゃんと残しておくニャ!


5. 議事録フォーマットとサポートのご案内

議事録は法律上も作成が義務づけられており会社の意思決定の記録としても重要な文書です。雛形(テンプレート)を使うと効率的ですが、内容に誤りがあると意味がありません。

  • 当事務所では、議事録の雛形提供チェックにも対応
  • 顧問契約により、株主総会運営全般をサポートするプランもご用意

▶ 相談のご予約フォームは[こちら]


🐱エンディング ~ニャンゴシ君のひとこと~

ニャンゴシ君:「議事録って、ただの記録じゃなくて会社を守る“たて”なんだニャ~!」

ニャンゴシ君

議事録って、ただの記録じゃなくて会社を守る“たて”なんだニャ~!

弁護士 佐々木

そのとおり。法律上の記録があるかどうかで、結果がまるで変わってくることもあるよ。

ニャンゴシ君

ボクの会社も、議事録をちゃんと準備するニャ!

弁護士 佐々木

うちの事務所でも議事録作成や総会運営のサポートもしてるから、気軽に相談してね。


この記事を書いた人
執筆者プロフィール
弁護士 佐々木 良次(ささき・りょうじ)
弁護士法人アストレイ代表(東京・品川)

製造現場での派遣勤務を経て、一念発起し駒澤大学に進学。法科大学院を経て司法試験に合格。
名古屋の企業法務系法律事務所で中小企業の契約・紛争対応を経験したのち、令和6年4月に東京にて弁護士法人アストレイを設立。
現在は、企業の法務体制構築、株主総会運営、役員構成の見直し、契約書の整備など、会社の法務支援を幅広く手がけている。
趣味はバイクとキャンプ。
非公式マスコット
ニャンゴシ君

猫の社会的地位向上を夢見て、法曹界を志す。
以来、弁護士法人アストレイに“住み着き”、佐々木弁護士のそばで日々法律を学びながら、猫にも優しい社会の実現を目指している。
司法試験を受けたことはないが、「ボクの愛らしさはすでに合格レベルニャ」と本人(猫)は豪語。
趣味は、佐々木弁護士の家の壁紙での爪とぎと、冷蔵庫から勝手にちゅ〜るを取り出すこと。
最近のマイブームは、ネズミのおもちゃ
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