🐱 ….ある日、思わぬひどい口コミを発見したニャンゴシ君

大変ニャ!うちがよく行くカフェの店長が、カフェの名前で検索すると、「接客態度が悪すぎる」とか「虫が出た」とか、ウソの口コミを書かれて困ってるんだニャ!



それは放っておくとお客さんが離れるかもしれませんね。
でも安心して。ネットの口コミにも削除できるルールがありますよ。



えっ、本当かニャ!?「あまり美味しくなかったニャ」とか「接客が冷たかった」みたいな感想でも消せるのかニャ?



感想や、その店の事実に基づく評価の削除は困難な場合もありますが、事実に反する内容なら削除のチャンスはあります。今回は、ネットの誹謗中傷記事の削除と発信者情報開示について説明していきましょう。
第1章:検索結果の汚染リスクと削除の価値
ネット上の口コミは、検索結果に直結します。
特にGoogleマップなどで悪い評価がつけられると、検索ページの一番上に表示されやすいため注意が必要です。
ニャンゴシ君の知り合いのカフェも、口コミで悪評等書かれると――
お客さんも「ちょっとやめとこう」と離れてしまうし、バイトの募集なども減って人手不足になるなんてことがあるかもしれません。
🔍 「検索される=信頼を見られている」時代だからこそ、風評対策は“集客の第一歩なのです。



じゃあ書いた人に被害の賠償を請求すれば、すこしは取り戻せるニャ?



たしかに、投稿者が特定できれば損害賠償請求も可能ですが、
相手が学生だったり、定職についていないといった場合、訴訟で請求が認められても回収が難しいといったケースも少なくありません。



ええっ!?じゃあ何のために動くのニャ!?



だからこそ、「削除すること」に価値があるのです。
信用を取り戻し、被害の拡大を防ぐには、できるだけ早く投稿を消す。そして、被害拡大を防ぐため、加害者に対し毅然とした対応をおこなう。それが何よりの“被害回復策”になるのです。
第2章:投稿される場所はいろいろあるニャ!
ネットで、口コミが投稿される場所は、今やSNSや掲示板など様々。主に次のようなサイトでの誹謗中傷の相談が多いです。
- Googleマップのクチコミ
- X(旧Twitter)
- 5ちゃんねる/爆サイなど匿名掲示板
- Yahoo!知恵袋など



そんなにいっぱいあると、どうすればいいかわからないニャ……



サービス毎に対応も変わりますからね。ただ、一般的な対処方法は3パターンに分けられます。
第3章:削除に向けた3つのルート
誹謗中傷や虚偽の口コミに対しては、次の3つの方法で削除を目指すことができます:


① サービス提供者に通報する(各サイトの報告フォーム等)
⇒ 多くのサイトでは、ガイドライン違反の投稿について通報できるフォームが用意されています。
虚偽や違法な内容が確認されれば、運営側の判断で削除されることがあります。
② 投稿者本人に削除を求める(直接または弁護士による書面での要請)
⇒ 相手が明確に特定できる場合は、任意の削除要請を行うことも可能です。
弁護士名で通知を出すことで、相手に対する心理的圧力も含め、応じてもらえる可能性が高まります。
③ 裁判所に削除命令を申し立てる(仮処分または訴訟)
⇒ ①や②で削除が実現しない場合や、被害が大きいケースでは、裁判所に対して削除の仮処分を申し立てる手段が有効
となります。
第4章:仮処分による削除命令の手続と要件
【仮処分手続の一般的な流れ】
仮処分手続の流れは、以下のとおりです。


- 裁判所に仮処分命令を申し立てる
仮処分命令申立書と疎明資料を提出し、裁判所に仮処分を申し立てます。
必要に応じ、疎明資料の追加提出が求められることがあります。 - 債権者(申立人)との面接
裁判所から呼び出しがあり、申立書や疎明資料を踏まえ、事実確認がおこなわれます。 - 双方審尋(相手方の意見聴取を含む)
債務者側にも意見を聞くための手続が行われます。 - 担保金の供託
仮処分が誤って認められた場合の損害に備えて、担保金を裁判所に供託します。 - 仮処分命令の発令
正式に削除命令が出されます。
■ 担保金とは?なぜ必要なのか?
仮処分命令は、本訴を待たずに迅速に権利保全ができる反面、誤って認められると債務者に過度の不利益が生じる可能性もあります。そのため、申立人に一定の“責任”を持たせ、不当な仮処分のリスクを緩和する目的で担保金を預けることが義務付けられています。
■ 担保金の額の目安は?
求める処分により金額に幅はありますが、一般的な相場は次のとおりです。弁護士に依頼する場合には、弁護士報酬とは別に必要となるので、注意してください。
- 削除仮処分……20万円~50万円程度
- 発信者情報開示仮処分……10万円~30万円程度
- 削除+発信者情報開示……20万円~30万円程度
- 発信者情報消去禁止……10万円~20万円程度
■ 担保金は返ってくるの?
制度上、債務者の損害賠償のための担保であり、仮処分が適正で問題がなければ、多くの場合、担保金の返還を求めることができます。
■ いつ戻るの?
ネット記事の削除や発信者情報の開示は、仮処分で削除や情報開示が完了すれば、訴訟に進まず解決するケースがほとんどで、仮処分の手続が終われば返還請求に進めます。



結構なお値段なので、戻ってくると助かるニャ!
【仮処分命令の要件】
仮処分という手続きを使って、ネット上の投稿を削除してもらうためには、いくつかの条件を満たす必要があります。
① 投稿が権利を侵害していること
「その投稿が、誰かの人格的な権利を侵害している」ことが必要です。よく問題になるのは以下のようなケースです。
- 名誉権の侵害:社会的評価を下げるような事実の摘示を内容とする書き込み(例:「あの店は詐欺だ」)
- 名誉感情の侵害:侮辱的な表現(例:「バカ」「死ね」などの悪口)
- プライバシー権の侵害:住所や電話番号など、私生活に関する情報を暴露するような内容
- 肖像権の侵害:無断で撮影された写真や動画を勝手に公開された場合など
② 違法性を正当化する理由がないこと
また、判例上「その表現内容が真実でなく、又はそれが専ら公益を図る目的のものでないことが明白であつて、かつ、被害者が重大にして著しく回復困難な損害を被る虞がある」ことも必要となります(北方ジャーナル事件大法廷判決(最大判昭和61年6月11日民集40巻4号872頁))。



記事の内容が「本当のことじゃない」って証明するのは大変にゃ!



手続の中で一番難しいポイントです。
第5章:削除が認められる投稿と難しい投稿の違い
【削除が認められやすい例】
権利を侵害する事実の摘示といえ、その内容が真実でないことを証明できるような内容の書き込みであれば比較的に削除が認められやすくなります。
- 「〇月〇日、店でゴキブリを見た」⇒ 実際に存在しない事実であれば虚偽記載として削除可能性あり
- 「○○会社は詐欺会社です」⇒ 名誉毀損や信用毀損となる表現
【削除が難しい例】
一方で、内容が意見論評の域にとどまっていたり、虚偽の内容であると簡単に立証できない内容の書き込みは、削除しづらい可能性があります。
- 「おいしくなかった」⇒ 感想の域にとどまり、削除は困難
- 「注文してから食事が出るのが遅い」⇒程度はありますが、 感想・評価の域にとどまる場合、原則として削除対象外



「ウソ情報」はダメだけど、「イヤだったニャ」くらいじゃ削除は難しいニャ。



「評判の域を超えて店を誹謗中傷している」場合や「事実と異なる記載」に絞って対応していく必要があります。
第6章:投稿者の特定(発信者情報開示請求)



削除だけじゃなく投稿者に損害賠償請求したいときはどうするニャ?
もし誰か分からなかったら訴訟もできないニャ!



その場合は、サイト運営者や通信事業者に対して「発信者情報開示請求」を行います。 投稿者のIPアドレスなどを特定して、プロバイダに情報を求める手続です。今回はちょっとだけ説明しよう。
【手続の流れ】
記事削除の仮処分と手続の流れは基本的に同じですが、次のとおり、2段階の開示命令となる点が特色です。
- サイト運営者への仮処分でIPアドレス開示命令
- 開示されたIPをもとに、プロバイダを特定
- プロバイダへの仮処分で契約者情報(住所氏名など)の開示命令
- 投稿者の特定
- 慰謝料請求など法的措置対応



ずいぶん段階があるんだニャ……



投稿者を特定するには2段階の仮処分が必要ですね。 実際は並行して手続を進めます。詳しくは、次の機会に説明していきますね。
第7章:当事務所の対応業務とサポート内容
弁護士法人アストレイでは、 次のような風評被害・ネット誹謗中傷対策をサポートしています。
- 削除申請(任意の通報・仮処分含む)
- 投稿者特定のための発信者情報開示請求
- 開示後の投稿者に対する慰謝料請求
ご利用料金(目安)
- 削除申請(任意交渉):1記事あたり 5万円~(税別)
※Googleマップや5ch等、投稿単位ごとに費用が発生します。 - 仮処分による削除申立て:1記事当たり30万円程度(担保金等の実費別)
- 発信者情報開示請求(仮処分):30万円程度
- 慰謝料請求(投稿者特定後の訴訟等):成功報酬制・ご相談ください。
※内容や投稿媒体、証拠状況によって異なります。
顧問契約をいただいている企業様には、割引制度および優先対応をご用意しております。これまで対応実績もございますので、安心してご相談ください。
終わりに:風評被害は、正しく対応すればリカバリーできる!
ネットの投稿は、拡散力があるぶん、放置すると被害が広がりやすいものです。
けれど、法的な対応方法を知っていれば、早期に削除し、被害の拡大を防ぐことができます。



もう泣かないニャ!正しい方法で、悪評を消していくニャ!



そう、それが風評対策の第一歩ですね。必要があれば、いつでも相談してください。
▶ ご相談は【法律相談フォーム】からお気軽にどうぞ!
法人様用ご予約フォーム
個人様用ご予約フォーム